月桃葉の長寿効果と種子の動脈硬化予防機能

もっと注目されるべき月桃の健康作用

 沖縄において月桃(Alpinia zerumbet)の葉は、主にお茶として消費されています。また、カーサムーチー(餅菓子)を包む抗菌性の容器としても利用されたり、そのエキスを蕎麦やアイスクリームに練り込んだりして食されています。県内のお土産店では多くの月桃茶が販売されており、私もよく飲んでいます。

 今回は、月桃葉や種子の健康機能について知られざる研究内容をご紹介します。

沖縄県内で販売されている月桃茶の製品

月桃葉の熱水抽出物が寿命を22.6%伸ばした

 長寿を研究するための動物モデル(線虫:C. elegans)がありますが、月桃葉が線虫の寿命に影響するかを調べた論文があります。沖縄県に生育する月桃の葉を熱水で20分間抽出したエキスは、線虫の寿命を22.6%延長する活性を示しました(1)。論文の中で、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の量を高めることで知れらるレスベラトロールという成分よりも、寿命を延ばす効果が高いことが分かりました。動物モデルとは言え単純な比較は出来ませんが、日本人の平均寿命(2020年、女性)が87.74歳ですので、22.6%アップすると107.6歳まで平均寿命が延びることになります。

月桃種子は動脈硬化を予防する天然のサプリメント

 血液にある低密度リポタンパク質(LDL)の酸化は、アテローム性動脈硬化症の発症の主要な危険因子と考えられています。琉球大学の研究によると、月桃の葉、花、根茎、種子などを分けて成分抽出したサンプルについてLDLの酸化阻害を調べた結果、月桃種子にのみ強い阻害活性が見いだされました。葉や根茎には存在しないコレスト-4-エン-3,6-ジオンという種子に特有の成分がLDLの酸化を抑制し、アテローム性動脈硬化症を予防する可能性が示唆されました。
 月桃種子の独特な芳香成分には健胃作用が期待され、月桃の葉と一緒にお茶として摂取すれば、健胃・動脈硬化予防・長寿が期待できると思います。自分は、月桃葉と一緒に種子も乾燥して、お茶として常飲しています。葉だけよりも香りが強く満足感があります。

月桃の種子は、動脈疾患を予防する天然のサプリメント

月桃種子を植えてみました
 採集した種子を培養土に植えたところ、約2ヵ月目に発芽しました。20株くらい苗をつくって、ピパーツ畑の周辺に植えて防風林の代わりにする計画でいます。

月桃種子からの発芽(植えてから2ヵ月くらいかかる)

(1) Biosci. Biotechnol. Biochem., 77 (2), 217–223, 2013
(2) Molecules 2012, 17, 6237-6248; doi:10.3390/molecules17066237

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