ドリアンとアルコールの食べ合わせは禁忌?

ビールのつまみにドリアンを食べてみた

 果実の王様と称えられるドリアン(Durio zibethinus)。マレーシア、タイなどでは多くの品種が存在します。独特の香りと甘味の強い仮種皮(かしゅひ)が生食されます。その匂いは炒めた玉ねぎや生ごみのような匂いに例えられ、タイの地下鉄等ではドリアンの持ち込みが禁止されているほどです。多くの品種の中では、匂いが弱い「Chanee」、「Monthong」種が有名です。

ドリアンの栄養成分


 日本食品標準成分表2020年(八訂)によると、ドリアン100g当たり、ビタミンB1:0.33mg、ビタミンB2:0.20mg、ビタミンB6:0.25mg、葉酸:150μg、ビタミンE:2.4mgといった栄養素が多く含まれており、栄養強調表示の基準値(高い旨、含む旨)を上回っています。脂肪・炭水化物の分解やエネルギー代謝に必要なビタミンB群が豊富なので、優れたダイエットフルーツだと思います。炭水化物が27.1g/100gと多いですが、ビタミンB群がスムーズにエネルギーに変えてくれるでしょう。貧血の予防に必要な葉酸、抗酸化作用をもつビタミンEが多いのも注目すべきです。強烈な匂いばかりが有名ですが、素晴らしい栄養機能をもつフルーツだといえます。

ドリアンフルーツとアルコールを一緒に食すると死ぬという噂
 以前、タイに行った時にドリアンとアルコールは同時に飲食してはいけないと言われました。ドリアンがお腹の中でビールと一緒に発酵してガスが発生するとの話を聞きました。本当かなぁ?とその理由が知りたかったので、そのメカニズムを調べている論文を探したところ、ドリアンに含まれるジエチル・ジスルフィドと呼ばれる硫黄化合物が、アルコールの分解酵素であるアルコールデヒドロゲナーゼを阻害することを記載した文献がありました(1)。ドリアン抽出物は非常に低濃度(0.33ppm)でアルコール分解酵素の働きを70%阻害するというデータです。
 ドリアンとアルコールが禁忌であるという話は噂レベルではなく、アルコール代謝を阻害して二日酔いの状態になる可能性は否定できないようです。そうなると、ドリアン果汁でつくったクラフトビールは危険な飲み物ということになります(存在しないとは思いますが)。

実際、ビールのつまみにドリアン(フリーズドライ)を食べてみた
 生のドリアンは入手困難であるので、非加熱のフリーズドライされたドリアンを購入しました。45g入りで1694円でした。

フリーズドライされたドリアン:嫌な匂いは無いが独特の香りがある。甘くて美味しい。

 ドリアンの甘味とビールの苦味がマッチしませんでしたが、ビール(350cc)のおつまみとしてフリーズドライドリアンを6切れくらい食べてみた結果、どうなったでしょうか?

ビールとおつまみのドリアン(フリーズドライ)

10分後:お腹が張ってくるような感覚
20分後:胃もたれのような感覚
60分後:お腹の張りは収まってきたが、おならをしたら、とんでもなく腐敗した生ごみの悪臭がした。
翌朝:二日酔いにはならず、無事生きていた。

結論


ビール(350cc)とフリーズドライのドリアン(6切れ)を一緒に食べたら、お腹が張ってくるような感覚があり、かなり悪臭のあるおならが出た。翌朝は二日酔いにはならず、生きていた。

以上の報告となりますが、皆様、真似しないようにしてください。

また、当記事は、アルコールを推奨する趣旨ではありません。

(1) Maninang et al.: Food Chemistry, Volume 117, Issue 2, 2009, Pages 352-355

Share this article on SNS!