「無添加」という魔法の言葉

「食品添加物」は悪いものなのか?

 加工食品のパッケージに表記される「〇〇〇無添加」という言葉を見ると、何となく健康に良さそうで安心なイメージをもってしまいます。

 「香料無添加」、「化学調味料無添加」、「酸味料無添加」「人工甘味料不使用」、「着色料不使用」と強調された製品が販売されていますが、それらの成分があまり身体に良くないような印象を与えます。

 「〇〇〇無添加」という強調表示は、営業的には使いたい表現だと思いますが、メーカーからするとリスクのある文言ではあります。たまに、「無添加」とだけ記載されていて、何が無添加なのか理解できない表示も見られます。

「無添加」表示の自粛を要請

一般社団法人 日本食品添加物協会は、2018年1月に食品の「〇〇〇無添加」、「〇〇〇不使用」表示に対する見解を発表しました。

それによると、「無添加」表示の多くは、

1)全ての加工工程の中で食品添加物が不使用なのか必ずしも明確でない場合が多く、消費者に不正確な情報を与えて、選択の自由を妨げる。

2)食品添加物使用の意義、有用性あるいは安全性に対する誤解を招くとともに、食品添加物を用いた加工食品全般に対する信頼性を低下させるおそれがある。

という趣旨の懸念を表明し、食品関連産業に対して「無添加」、「不使用」表示の自粛を要請しています。

消費者庁の見解

 一方、消費者庁の食品表示基準Q&A(加工-90)によると、「通常同種の製品が一般的に添加物が使用されているものであって、当該製品について添加物を使用していない場合に、添加物を使用していない旨の表示をしても差し支えない」と回答しています。

 つまり、今まで食品添加物を入れていた製品を改良して、添加物を全く使用しないようにした新製品には「〇〇〇無添加」と表示しても問題はないという見解です。日本食品添加物協会は自粛すべきと言うけど、消費者庁は差し支えないという意見なのですね。

 私も事実であれば、「〇〇〇無添加」は魅力的な表現だと思いますが、商品ラベルを作成する際はリスクを負いたくないのでやっぱり避けます。

代用できる食品原料

 ところで、食品添加物の機能を代用できる食品原料をリストアップしてみました。食品添加物を使用したくない時、代わりに利用できると思われる食品原料です。

 実は食品添加物の成分本質は、食品原料の成分と共通するものがあります。これらの食品原料を利用すれば、「食品添加物:〇〇〇無添加」ということになるのでしょうが、あまり褒められたやり方ではないです。有用性・安全性が確認された食品添加物を適切に使用すべきだと思います。

まとめ

 「〇〇〇無添加」、「〇〇〇不使用」と強調された製品が販売されており、健康に良さそうで安心なイメージを受けます。この強調表示について、一般社団法人 日本食品添加物協会は、食品関連産業に対して「無添加」、「不使用」表示の自粛を要請しました。一方で、消費者庁は加工工程中、添加物を一切使用していないのであれば差し支えないという趣旨を示しています。

 食品メーカーのテクニックとして、食品添加物の機能を代用する食品原料を使うことがあります。酸味料の代わりにレモン果汁、化学調味料の代わりに酵母エキス、乳化剤の代わりに卵の黄身などが挙げられます。

 しかし、このようなテクニックを多用するのではなくて、有効性・安全性が確認された食品添加物を適切に使って分かりやすい食品表示を心がけるべきだと思います。

Share this article on SNS!