ノビレチンは果皮よりも葉に多く含まれる
「ノビレチン」という成分をご存じでしょうか。シークワーサーの果皮にたくさん含まれるポリメトキシフラボンの一種で、最近の研究から認知機能の改善効果で注目されるようになりました。早い時期に収穫する未熟果のシークワーサー果皮に多く含まれます。
ノビレチンを摂取するためには、苦味の強い果皮ではなくて果汁(ジュース)から摂るのが効率的です。皮ごと搾ったジュース100mlには、ノビレチンが20mgくらい入っています。
シークワーサージュースをどれくらい飲めば良いか?
未熟果の青切シークワーサーのジュースは何ml飲めば、健康的でしょうか。ノビレチンを含む粉末をヒトに摂取させた試験を参考にしてみました。ある研究機関の論文によると、ノビレチンを1日当たり2mg摂取したヒトの血液における総コレステロール、動脈硬化指数が有意に減少したと報告されています(1)。また、肝機能の指標であるγ-GTPもノビレチン摂取により減少しました。
1日当たり2mgのノビレチンとは、ジュースに換算すると約10mlになります。更に分かりやすく言えば、青切シークワーサーの果実に換算すると2個分に相当します。お刺身や野菜のドレッシングとして、青切シークワーサーの果実2個を手搾りすれば、果汁10mlがジュースとして出てきますので、動脈硬化の予防や肝機能の改善が期待できます。こんな手頃な量で健康パワーが発揮されるのは驚きです。殺菌された市販のジュースでもノビレチンは十分入っていますので、100%ジュースもお勧めします。
12月頃に収穫されるシークワーサーは黄金(くがに)という希少な果実
未熟果のシークワーサーを樹上で大切に鳥害から守り続けて12月頃になると、果皮が橙色に色付いてきます。沖縄では黄金色のことを「くがに」という方言で呼びます。この黄金シークワーサーは、青切シークワーサーよりも糖度が高く甘味が強いのが特徴です。青切のジュースは数倍に薄めなければ酸っぱくて飲めないのに対し、黄金のジュースはストレートでそのまま飲めるほど甘いのです。ただし、残念ながらジュース100mlのノビレチン量は10mgであり、青切ジュースの半分しか入っていません。完熟して糖度が高くなるにしたがって、逆にノビレチンは減少することが理由です。
意外にもシークワーサーの葉に「ノビレチン」が多い
愛媛大学の研究によると、シークワーサーの葉には果皮の2倍、ノビレチンが含まれることが報告されています(2)。花粉症等を含むⅠ型アレルギー疾患に、シークワーサー葉の抽出物が有効である可能性も示されました。
シークワーサーの果皮やジュースだけではなく、葉っぱからもノビレチンを摂取できるなんて、すばらしい情報だと思います。そこで、シークワーサーの葉からお茶を作ってみました。
シークワーサーの葉からお茶を試作
無農薬のシークワーサーから葉っぱを採取して、よく洗浄後70℃で4時間乾燥しました。乾燥物を粉砕後、急須でお茶にして飲んでみました。ほんのりと柑橘の香りが漂って、癖のない味でした。お茶の中のノビレチン量は不明ですが、ジュースよりも効率的に摂取できるのかもしれません。
「ノビレチン」の健康パワーを取り入れるには、果実を手搾りして調味料として使ったり、市販の100%ジュースを飲用するのもお勧めですが、お茶として飲めば、より効率的にノビレチンを摂取できるでしょう。
(1) 河合ら:薬理と治療,Vol.49 No.7 Page.1123-1131 (2021)
(2) 岡本ら:東洋食品研究所 研究報告書,33,95-99(2020)
青切ジュースならではの効果はこちらです。