超酸っぱいクエン酸を甘味に変えるミラクルフルーツ

疲労回復成分クエン酸がゴクゴク飲める

 ミラクルフルーツ (Synsepalum dulcificum) は、西アフリカ原産のアカテツ科の果物で、コーヒー豆ほどの赤い果実を実らせます。高温多湿を好み、最低気温15℃以上を保てば、一年中開花と結実を繰り返すので、沖縄での栽培に適していると言えます。

ミラクルフルーツの果実(1.7cm×0.9cm程度)

味覚変革成分「ミラクリン」

 ミラクルフルーツには、特殊なたんぱく質である「ミラクリン」が含まれ、舌にある甘味受容体に結合して、酸味を甘く感じさせることが知られています。

 ミラクリンは食品衛生法の添加物リストには収載されておらず、また成分本質の原材料リスト(食薬区分)にも載ってないのは、安全性に関するデータが不足しているのか、あるいは使用・流通実績はないことに起因するのでしょうか。

 おそらく、ミラクリンはタンパク質なので、構造を変えずに機能を保ったまま抽出するのが難しいので、食品添加物のメーカーは取り扱いをしないのだと思います。一方、ミラクルフルーツの実(青果)や苗木としての販売はされています。

とっても酸っぱいクエン酸原液で味覚修飾実験

 沖縄県内の道の駅でミラクルフルーツの実が販売されていたので、購入してみました。本当に酸味が甘味に変化するのか実験するために、酸味の本体であるクエン酸の5%水溶液をつくりました。レモンなどの柑橘だと酸味以外に糖分が含有するため、純粋な試験ができないので、クエン酸単独での実験をしました。

【方法】最初に、5%クエン酸水溶液を少し飲んでみたところ、とんでもなく酸っぱい! 当然、甘味は全く感じられませんでした。その後、ミラクルフルーツの実を1粒、種の周りの果肉を食べて口内や舌全体で嚙み砕きました。

【結果】ミラクルフルーツの実を食べた直後に、5%クエン酸水溶液を飲んでみると、不思議なことにとっても甘―い液体に変わっているではないですか! 正直、驚いたと共にクエン酸の濃い液体をゴクゴクと美味しく飲めてしまうので、胃には良くないと感じました。確かにこれは、糖質制限などで糖類を摂取できない方には利用価値が高いと思います。

 5%クエン酸水溶液に対するミラクルフルーツの味変革の経緯をグラフにまとめました。

 ミラクルフルーツを食べると、直後から甘味と酸味が逆転します。そしてその効果は30分くらい継続します。60分くらい経過すると効果が薄れて酸味を感じるようになり、90分程度で通常の味覚に戻りました。

 因みにクエン酸をたっぷりと含むシークワーサー果汁(100%原液)でも試してみましたが、とても甘いジュースに早変わりしました。100ccのシークワーサー100%果汁を美味しくゴクゴクと飲んでしまいました(胃には良くないでしょう)。

 まさにミラクルなフルーツです。糖分を強く感じたい時に利用できるといいですね。今回、実験に使用した後に種子が残ったので、培養土に植えてみました。沖縄県内で育ててみようと思います。

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