パイナップルとイカは医薬品?

カットフルーツやイカの干物には医薬品成分が入っている

パイナップルやイカは誰が見ても食品ですが、パイナップルに入っているブロメライン(酵素)、イカに入っているタウリンは医薬品成分に分類されています。 

 私たちが普段食べている食品の中に医薬品成分が含まれる例があります。例えば、生のパイナップルには、「ブロメライン」という酵素が含まれており、ブロメラインは痔の疾患(内服)や軟膏に使われています。

 また、イカ・タコに含まれる「タウリン」というアミノ酸は、疲労回復ドリンクに配合されるタウリンと同じ構造をしています。

 食品から抽出したブロメラインやタウリンを、錠剤やドリンクなど医薬品と誤認するような形で配合した場合、薬機法(旧薬事法)の規制を受けて医薬品と判断される可能性があります。

 パイナップルやイカは当然、食品に決まってるじゃないか!と突っ込まれそうですが、入ってる成分が医薬品成分に分類されてしまってるので、話が複雑になるのです。

 複雑になっている理由を以下に整理しました。

医薬品成分と判断するリスト

 厚生労働省では、医薬品に該当する成分本質(原材料)について、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(以下医薬品リスト)に例示しています。

 この医薬品リストの中に、「ブロメライン」、「タウリン」が記載されているのです。

 ということは、ブロメラインが入っているパイナップル(生)のカットフルーツや、タウリンが入っているスルメイカの干物も医薬品扱いになるの? という疑問が湧いてきます。

医薬品成分とは判断しないリスト

 一方で、厚生労働省は、医薬品に該当しない成分本質(原材料)について、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(以下非医薬品リスト)も例示しています。

 要するに「〇〇〇に効く」などの効能を表示しない限りは、医薬品とは判断しない成分です。

 この非医薬品リストでは、由来植物に「パイナップル」、由来動物に「イカ」が例示されています。

 パイナップルのブロメラインやイカに入っているタウリンは医薬品と言っておきながら、由来のパイナップルやイカは医薬品と判断しない、というのはどういうことなのでしょうか?

それは薬機法(旧薬事法)との関連で理解できるようです。

薬機法(旧薬事法)との関係

 薬機法は、「医薬品成分を配合、または含有するものは、形状や効能効果、用法用量の標榜いかんにかかわらず医薬品とみなす。」としており、サプリメントに医薬品成分などを配合することを禁止しています。

 薬機法と照らし合わせてみると、パイナップルから取り出したブロメライン、イカから抽出したタウリンは医薬品成分になるから、サプリメントに配合することが出来ないということになるようです。

 薬機法の文言によると、効能効果を訴求しなくても、配合した時点でアウト!というふうに読み取れます。

 形状いかんにかかわらず、ということはブロメラインを含むパイナップルのカットフルーツ、タウリンを含むイカを乾燥した干物も医薬品と見做されるのでしょうか? 

「明らか食品」には薬機法が適用されないという特例

 日常的に食されており、誰が見ても医薬品と誤認しない食品のことを「明らか食品」と呼び、例外的に薬機法が適用されないことが昭和46年の厚生省通知で決められました。

 通常人が社会通念上容易に通常の食生活における食品と認識するものとして、以下が例示されています。

明らか食品の例示

① 野菜、果物、卵、食肉、海藻、魚介等の生鮮食料品及びその乾燥品(ただし、乾燥品のうち医薬品として使用される物を除く)

② 加工食品
(例)豆腐、納豆、味噌、ヨーグルト、牛乳、チーズ、バター、パン、うどん、そば、緑茶、紅茶、ジャスミン茶、インスタントコーヒー、ハム、かまぼこ、コンニャク、清酒、ビール、まんじゅう、ケーキ、等

③ ①、②の調理品(惣菜、漬物、缶詰、冷凍食品 等)

④調味料
(例) 醤油、ソース 等

※お菓子は明らか食品からは除外されています。

 この特例から考えると、ブロメラインを含むパイナップルのカットフルーツ、タウリンを含むイカを乾燥した干物は、容易に「明らか食品」と判断できるため、薬機法の規制から逃れられます。

 カットフルーツやイカの干物が医薬品にならなくて、ホッとしました…

【まとめ】

 ブロメラインやタウリンを抽出して医薬品形状に近いサプリメントに配合すれば医薬品と見做されるが、パイナップルのカットフルーツやイカの干物など、誰が見ても医薬品と誤認しない「明らか食品」の形状であれば食品と判断される。

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