ニシヨモギ VS. 琉球ヨモギ(血糖値・血圧対策)

料理の匂い消しをする優れた薬草

 和名ニシヨモギ、学名はArtemisia indica willd.というヨモギは、沖縄では「フーチバー」と呼ばれ、ヤギ汁やイカ墨汁など匂いのきつい料理にトッピングして、匂い消しに使われます。ヨモギを多めに入れて食べるヤギ汁はとても食べやすくなり美味しいです。牛そばに入れてもヨモギの香味が感じられて良いですね。

フーチバーをたっぷりと載せたヤギ汁

 ヨモギ抽出液は、糖類や脂質の分解を阻害することが報告され(1)、血糖値の急な上昇を抑制する効果が期待できます。沖縄そばのお店でヨモギ茶が置いてあるのは、そば(炭水化物)を食べても血糖値が上がりにくい効果が出るため、理にかなっています。

 ヨモギは道端や畑の周辺に生えている雑草でもあり、自分のピパーツ畑の周辺にも繁茂してきて除草がたいへんになってきました。有用な野草でも繁茂しすぎるとありがたみが薄れてきます。

ニシヨモギ(フーチバー)

 一方、沖縄には琉球ヨモギ(Artemisia campestris)という香草があります。方言では「ハママーチ」と呼ばれます。沖縄県の宮古島、八重山・先島諸島に分布し、独特の香りから薬味として利用されます。

琉球ヨモギ(ハママーチ)

 北アフリカにあるチュニジア共和国で琉球ヨモギの効能についてヒト試験が実施されました。琉球ヨモギの乾燥葉20gを1Lのお湯で抽出したエキス20mLをヒトに飲用させた結果、拡張期の血圧や心拍数が有意に減少することが報告されています(2)。

 論文によると飲用してから15分くらいで効いてくるようです。換算すると僅か0.4gの乾燥葉、生の琉球ヨモギとして約1gの摂取で血圧が下がっているため、元来低血圧の方は逆に注意した方が良いかもしれません。

 血圧高めの方は、薬味として炊き込みご飯等に少し入れると予防になるのではないでしょうか。効果が強いため、野菜ではなく薬草になるのでしょう。

(1) 沖縄県工業技術センター研究報告書 第6号,p.65-91, 2004年

(2) Journal of Applied Pharmaceutical Science Vol. 4 (04), pp. 038-042, April, 2014

Share this article on SNS!