記憶力を良くする鶏肉、目の疲れを取るほうれん草:健康機能を堂々と表示する生鮮食品が販売されている

健康食品の市場

 2019年度の健康食品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで8623億円、2020年度は8689億1000万円を見込んでおり※、増加傾向にあります。

 要因として、コロナ禍により健康意識が高まり、ビタミンやプロテイン、免疫強化といった健康食品の需要が伸びていることが挙げられます。薬に頼る前にサプリメント等で病気になりにくい体質を維持したいという防衛意識が働くのだと思います。

健康機能を堂々と表示する機能性表示食品の登場

 「骨の健康が気になる方」など健康訴求を謳っているトクホはご存じだと思いますが、2015年4月には、新しく「機能性表示食品」制度が創設されました。文献等の根拠があれば消費者庁に届出をした上で、サプリメントや食品に健康訴求をしても薬機法(旧薬事法)には触れないという制度です。

 機能性表示食品の市場規模は、メーカーの出荷金額ベースで2019年度が2542億8000万円、2020年度は2843億4000万円の見込み※で拡大傾向にあります。今では健康食品市場の3割を占める比率に成長しています。

サプリだけではなく、生鮮食品にも健康機能を謳える画期的な制度

 この制度の特徴として、「生鮮食品」でも健康機能を表示しても良い、というのが画期的なのです。1日摂取量の根拠をまとめた資料を消費者庁に届出すれば、「高めの血圧を下げる」、「認知機能をサポート」、「目の疲労感を軽減」といった訴求をしても良いですよ、という世界初の取り組みです。

 農業の生産者や小売業者さんは野菜、果物、卵、肉などの生鮮品について、今まで堂々と謳えなかった健康訴求が売り場で可能となり、新たな差別化の手段になっています。

 消費者庁ホームページ機能性表示食品の届出情報から調査した情報(2021.7.29時点)によると、機能性表示食品の届出件数(全4282件)のうち、サプリメント形状などの加工食品が2211件(51.6%)、飲料などその他の加工食品が1963件(45.8%)、生鮮食品が108件(2.5%)となっており、生鮮食品は全体の2.5%と未だ少ないです。

健康に良いとする根拠が明確な生鮮食品(野菜、果物、畜肉、魚)

 消費者庁ホームページ(機能性表示食品の届出情報検索)から調査した結果を下表にまとめます。野菜、果物、畜肉、魚といったバリエーションに富んだ生鮮食品が並んでいます。注目すべきは、これら全ての食品について、効能を謳う成分が必要量入っていることを分析し、その成分についてヒトの臨床試験もしくは疫学調査等で考察(レビュー)されていることです。要するに1日目安量を摂取すれば、目的とする健康機能が期待できるという画期的な生鮮食品になります。表中の成分はケミカルなものを後から添加したのではなく、元来その食材に含まれる天然成分であることを強調しておきます。

 血圧が高めの方に適したトマトやバナナ、内臓脂肪を減らすリンゴ、記憶力を改善する鶏肉など日常的な食材をうまく活用して健康状態を維持したり、病気を予防できる手段はたいへん有用だと思います。何より、ケミカルな成分が含有するサプリメントを避けたい消費者の中で、生鮮食品で健康維持したい方も一定量存在するはずです。

まとめ

 2020年度の健康食品市場は、8689億1000万円を見込んでおり増加傾向にあります。その中で消費者庁への届出のみで健康訴求できる機能性表示食品が2015年から登場し、健康食品市場の3割を占める比率になっています。コロナ禍の健康意識の高まりから、今後も市場規模の拡大が期待されます。

 日本独自の制度として生鮮食品にも機能性表示が可能となり、記憶力を良くする肉、中性脂肪を下げる魚など、健康機能を堂々と表示する生鮮食品が販売されるようになりました。

 機能性表示食品の届出件数(全4282件)のうち、生鮮食品は108件となっており全体の2.5%と少ないですが、ケミカルな成分が含有するサプリメントを避けたい消費者の中に、生鮮食品で美味しく健康維持したい方も一定量存在するので、今後は益々発展する食品群だと期待しています。

※2021年度版 健康食品の市場実態の展望~市場分析編~(概要版:株式会社矢野経済研究所)を購入の上、一部を引用

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