島バナナの追熟と抗ウイルス作用

新型コロナウイルスを中和するバナナの成分

沖縄の特産のひとつである「島バナナ」。

見た目が小さく、モンキーバナナとの区別がつきにくいです。

もともとは小笠原諸島で栽培されていたようで、爽やかな酸味と甘味の両方を味わえる希少なバナナです。

一般にスーパーマーケットで売られている品種の数倍以上の価格で取引されます。

一般のバナナと同様に青い状態で収穫され、追熟させてから食べます。

爽やかな酸味と甘味の両方を味わえる希少な島バナナ(追熟後)

バナナの花

 バナナは写真のように垂れ下がった独特の花を付けます。バナナの花言葉は「風格」であり、その堂々とした大きさからも納得できる花言葉ですね。

 バナナの花を調理すると野菜として食べることが出来るようです。今度、トライしてみます。

バナナの花言葉は「風格」、

確かに堂々としています。

島バナナの追熟と糖度の関係

収穫直後の島バナナが何日くらいで追熟するのか実験してみました。

追熟の指標は、外観(見た目)、味、糖度です。

糖度については、バナナをペースト状にしてから糖度計で分析しました。

果実やジュースなどの糖度(%)を分析する糖度計、

主に食品メーカーの工場で利用されている

【結果】

 収穫直後の未熟な青バナナは、皮が硬くてとっても剥きにくいです。無理やり皮を剥いて、実を食べてみましたが、甘味は全くなく口の中に強い渋みが広がりました! これは本当に不味いです。思っていた通り糖度は低く、2.8%という数値でした。この段階ではもちろんフルーツと言えないですね。

 追熟9日目になると、見た目は普通の島バナナに近いものになりました。皮表面のシュガースポット(黒い斑点)も少し現れてきました。糖度は青バナナの7倍以上となり、20.4%に増加しました。食べてみると、さっぱりとした甘味がありました。でも、ちょっと物足りない味でした。

 更に3日経過して、追熟12日目になるとシュガースポットもたくさん増えてきました。糖度は更に上昇し、26.2%になりました。高糖度の完熟マンゴーや完熟パイナップルの糖度が20%くらいなので、追熟した島バナナの方が上回っているのですね。甘味と同時に爽やかな酸味もバランスよく味わえます。

 図には掲載していませんが、島バナナを更に追熟させたところ、追熟13日目では糖度が25.6%、追熟14日目では糖度が24.6%に減少してきました。糖度が最も高くなる追熟日数のピーク(12日目)があることが分かりました。

【追熟実験の結論】

 島バナナは、収穫直後(未熟)から12日目くらいで完熟(最大糖度:26.2%)のピークを迎えて、強い甘味と爽やかな酸味を味わうことが出来る。

バナナの健康機能:抗ウイルス作用

 バナナの実には、「レクチン」という薬理成分が含まれていることは、あまり知られていません。

 バナナから発見されたレクチンは特にBanLec(バンレック)と呼ばれています。2010年、ミシガン大学の研究において、BanLecがHIV-1(ヒト免疫不全ウイルスタイプ1)の増殖を強く阻害することが報告されました※。

 ウイルスの表面にあるタンパク質にBanLecが結合して、ヒト細胞にウイルスが侵入するのをブロックするようです。

 更には2020年の研究において、バナナ由来のBanLecがSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に結合することが、分子ドッキングという研究で明らかになっています※※。

 スパイクタンパク質に結合するということは、新型コロナウイルスを中和する薬剤になる可能性を秘めているということになります。

 バナナの実は美味しいだけではなく、優れた薬理成分が含まれており、今後の応用が期待されます。

※Swanson,M.D. et al: J Biol Chem. 2010 Mar 19;285(12):8646-55

※※Lokhande,K.B. et al: J Biomol Struct Dyn. 2020 Dec 9;1-19

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