防虫効果や抗菌力に加えて、高血圧の対策にも使える月桃
月桃(学名:Alpinia zerumbet)は、九州南部~沖縄の山野に自生し、中国、台湾、マレーシア、タイなどにも分布する多年草です。沖縄の方言では、サンニン、サニンなどと呼ばれています。とても美しい花を咲かせます。
月桃の花はとても美しい。中国では、艶山姜(えんざんきょう)の漢名で呼ばれています。
月桃の葉は乾燥すると、お茶として飲むことができます。葉には芳香性の精油が含まれており、独特の香りを楽しむことができます。また、漢方において、種子の粉末が健胃薬として利用されてきました。月桃の成分には防虫効果もあり、抽出エキスを体にスプレーすると虫除けになります。
月桃葉のお茶、独特の芳香を楽しめる。
月桃の種子、
漢方では健胃薬として利用されてきた。
天然の抗菌材「月桃葉」で巻いたカーサムーチー
沖縄では月桃の葉でお餅を巻いてつくる「カーサムーチー」というお菓子があり、月桃の香りと一緒にいただく保存料無添加のお餅はとっても美味しいです。お茶、漢方、防虫、お菓子など、こんなに利用範囲が広い植物は珍しいです。
月桃葉に包まれたカーサムーチー(お餅)、
写真は黒糖バージョン
月桃葉で巻いたカーサムーチーは腐りにくい!
葉に含まれる精油などの成分には、抗菌作用が報告されており、ムーチー(お餅)に巻いた状態で保存効果を発揮するようです。
何でも、自分で確かめてみないと気が済まない私ですので、ムーチーを買ってきて、月桃の葉を取り除いたお餅と、月桃葉を巻いたままのお餅を、夏場の常温に置いて、どちらが腐りやすいか実験してみました。
【比較実験】
実験の結果、月桃葉ではなくラップを巻いて保管したムーチーは、3日後にドロドロに腐敗して異臭を発していました。食べたら確実にお腹をこわします。それに対して、月桃葉を巻いたムーチーは鮮度が維持されたままで香りもよく、食べられる品質を保持していました。月桃葉を巻くとこんなに違いが出るとは正直、驚きました。月桃葉の成分には、確かに抗菌作用があることが確認できました。
月桃葉の血圧低下作用
最後に月桃の更なるパワーをご紹介します。
1991年にブラジルで10名の成人で実施した試験です※。月桃0.8gを煎じたお茶を1日5回、1週間飲んだ結果、収縮期の血圧と拡張期の血圧が、統計的有意に下がることが確認されました。血圧が気になる方には月桃茶を健康維持に活用できそうです。
防虫効果や抗菌力に加えて、高血圧の対策にも使える月桃は、まさにスーパーハーブですね。
※Mem. Inst. Oswaldo Cruz, Rio de Janeiro, Vol.86, Suppl. II, 237-240, 1991
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