幻のヤムイモ「クーガ芋」の潜在力:女性ホルモン類似成分ジオスゲニン

ジオスゲニンは、Covid-19の潜在的な薬剤候補

 クーガ芋は、トゲドコロ(学名:Dioscorea esculenta)とも呼ばれる主に九州以南で栽培されているヤムイモの一種です。根や茎に棘があるので、トゲドコロの名がついています。

 栽培や収穫に手間がかかり、沖縄県でも栽培量が少ないことから、幻の琉球自然薯と言われたりもします。滋養強壮や筋肉増強作用について研究が進んでいる希少なヤムイモです。

クーガ芋(トゲドコロ)の外観

確かに元気が出そうな見た目ですね。

クーガ芋の食べ方

 皮を剥いてすりおろしてみると、とろろ芋のように粘り気が出てきます。少し醤油を垂らしてご飯にかけると旨味があって美味しいです。また、スライスを素揚げして食べるのもお勧めです。

 疲労回復効果を確かめるために、クーガ芋(2個分)のスライス品を生のまま醤油をかけて食べてみました。癖のない味で美味しかったのですが、その後、お腹が緩くなりました。2個分は多すぎたようです。理由は分かりませんが、生のまま食べると便秘の方には、効果てき面です!

クーガ芋のスライス(生)は、癖のない味で美味しいが、食べすぎには注意

「ジオスゲニン」という凄い成分

 ヤムイモの仲間では、ワイルドヤム(メキシコヤム)、懐山芋(かいやまいも)、クーガ芋に「ジオスゲニン」という成分が多いです。実際には、ジオスゲニンに糖が結合した配糖体という形で存在します。

 シオスゲニンは、女性ホルモンであるプロゲステロンと化学構造が類似しているため、製薬業界ではプロゲステロンを合成する際の出発原料に使われています。天然のヤムイモに含まれるジオスゲニンが、女性ホルモンと類似しているというのは、たいへん興味深いです。

 ヤムイモの女性ホルモン効果を期待して、閉経後(更年期)の女性を対象に、ジオスゲニンを含むヤムイモ390gを30日間摂取した結果、エストロンなどの性ホルモンの増加、血漿コレステロール濃度の低下、抗酸化物質の改善が認められました※。

つまり、ジオスゲニンの摂取は、閉経後の女性ホルモンの増加、乳癌および心血管疾患のリスクを減らす可能性が確認されました。

 また、ジオスゲニン8mgを含有するヤムイモ抽出物を成分とする機能性表示食品(届出番号:E420)が販売されており、「健常な中高年の方の加齢に伴い低下する認知機能を維持する機能があります」という文言が表示されています。ジオスゲニンには、認知力を維持する働きがあることも驚きです。

 更には、新型コロナ感染の原因であるSARS-CoV-2の表面にあるスパイク蛋白質に、ジオスゲニンが強く結合することが分子ドッキングという手法で明らかになっています※※。つまり、ジオスゲニンは、Covid-19の潜在的な薬剤候補になることを示唆しています。

ジオスゲニンを含有する希少なヤムイモ「クーガ芋」の潜在能力が期待されています。

※Wu,W-H et al.:Estrogenic effect of yam ingestion in healthy postmenopausal women. J Am Coll Nutr. 2005;24(4):235-43.

※※Zígolo, M.A et al:Virtual screening of plant-derived compounds against SARS-CoV-2 viral proteins using computational tools. Science of the Total Environment 781 (2021) 146400

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