摺り下ろすと、にんにくのアリシンが増える
沖縄県で流通している島にんにくは、沖縄早生(わせ)と呼ばれる低緯度型の品種です。寒地型や暖地型の品種よりも早く収穫できて、冬期間も生長を続けることができます。りん茎は他の品種に比べて軽くて小さいのが特徴です。香りが強く、葉にんにくとしても利用できます。普通のにんにくで物足りない方は、島にんにくの強い香りと辛味がお勧めですが、皮を剥きにくいのが少し面倒です。簡単に剥ける方法を知りたいところです。
島にんにくは、他の品種に比べてりん茎が小さく、香りが強いのが特徴
島にんにくの栽培
種にんにくを購入したので、昨年9月頃にピパーツ畑の隣に植えました。種にんにくの発芽率は100%で、4ヵ月たった今では順調に生長しています。防草シートのあり・なしで栽培法を分けていますが、特に生長の違いはないようです。初夏の収穫が楽しみです。
匂い成分アリシンがSARS-CoV-2の感染と複製を阻害する
にんにくにはアリインという強力な抗酸化・抗炎症成分が含まれていますが、生にんにくを切ったり摺り下ろしたりすると細胞が破砕されてアリナーゼという酵素が働きます。この酵素が働くと、アリインはにんにくの匂い成分であるアリシンに変換することが知られています。匂い成分アリシンをなるべく生成させたくない時は、にんにくを切らないでそのまま電子レンジで軽く加熱するとアリナーゼ(酵素)が失活して、アリシンが生成しにくくなります。
一方で、このアリシンは強い抗ウイルス作用をもつことが知られています。2021年、ドイツの研究機関によると、アリシンは肺細胞に対するSARS-CoV-2の感染と複製を阻害するというデータが発表されました(1)。にんにくの匂いを気にしないのであれば、なるべく刻んだり摺り下ろしたりしたものを料理に取り入れることで、SARS-CoV-2の感染予防になる可能性があります。
島にんにくは普通のにんにくよりもアリイン、アリシンが多い?
SARS-CoV-2の感染と複製を阻害するアリシンは島にんにくに多く含まれているのでしょうか。普通のにんにくに比べて香りが強いと言われるので、アリインやアリシン含量が高いのかもしれません。研究機関の文献を調べましたが、島にんにくのアリイン、アリシン含量を調べたデータは見当たりませんでした。
しかし、イラクの大学で島にんにくに近い低緯度型の品種で、アリインやアリシンが中国産のにんにくよりも4倍高いというデータが記載されています(2)。
沖縄県内の研究機関で島にんにくのアリイン、アリシンを分析いただけると恐らくは寒地型のにんにくよりも含量が高いと予想します。SARS-CoV-2の予防に島にんにくが最適であると期待しています。
(1) bioRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2021.05.15.444275; this version posted May 16, 2021 : Allicin inhibits SARS-CoV-2 replication and abrogates the antiviral host response in the Calu-3 proteome.
(2) J. of university of anbar for pure science : Vol.4:NO.2 : 2010