店員が説明可能な対面販売では原材料等の表示義務がない
本稿の趣旨
食品表示法では、消費者に販売されるすべての食品に対して食品表示が義務づけられていますが、お弁当をその場で容器に詰めて対面販売する(テイクアウト、デリバリーを含む)場合は食品表示の必要はありません。
例えば、卵アレルギーのお客がお弁当を注文する際に、お弁当の容器には食品表示(ラベル)を貼付する義務がないので、お店の店員に尋ねたりメニューに記載されている情報を確かめることになります。対面販売では、製造者が消費者に直接販売することとなり、品質について説明できるため、食品表示が不要になります。
また、ランチタイムなどの繁忙時に備えてあらかじめ販売見込み量を容器に入れて対面販売する場合も食品表示は必要ありません。
インドカレーのテイクアウト店にて
登場人物
●食品表示を勉強中のK君
●インドカレーのテイクアウト店の店員(インド人)
テイクアウト店の店員(インド人)「いらっしゃいませ~」
食品表示を勉強中のK君 「カレーの良い匂いがしますね。テイクアウトの野菜カレーとナンのセットを4つお願いします。」
店員 「ありがとうございます。5分くらいかかりますので、お待ちください。」「サービスでチャイをどうぞ」
K君 「おお、ありがとうございます! チャイ大好きです。いただきます」
約5分後…
店員 「野菜カレーとナンのセット弁当になります」「3,000円です~」
K君 「ところで店員さん、このカレー弁当に卵は入ってますか? うちの子供が卵アレルギーなんです。」
店員 「えっ? 卵ですか?」
K君 「テイクアウト弁当では、原材料が記載されたラベル表示がないので、教えてください。」
店員 「えっと~、野菜カレーには卵は使ってませんが、ナンには確か卵が入っているかも…」「業者から仕入れたナンミックスパウダーを使っているので……その袋を捨ててしまいました……」
K君 「めんどくさい質問ですいません。最初にきいとけばよかったですね。」「確認は難しいでしょうか?」
店員 「 ग्राहकों को परेशान करना(めんどくさい客)……」 「すいませ~ん。詳しい日本語、分かりませ~ん。」
K君 「しょうがないです。ナンには卵が入っているはずですので、ナンだけは子供に食べさせるのは止しますね。」
店員 「ナンの代わりに、ご飯へ変更できますよ。」
K君 「やっぱり日本語、分かってるんだー!」「それじゃあ、一人分のナンをご飯に変更してください。」
店員 「पहले कहो(最初に言ってよ)……」「わかりました~ (´Д`)」
まとめ
消費者庁の食品表示基準Q&Aによると、客の注文に応じて弁当、惣菜をその場で容器に詰めて販売する行為は、容器包装に入れられた加工食品の販売に該当せず、アレルギー情報を含めて表示は必要ありません。理由はお弁当をつくっている対面販売の店員がお客さんに説明できるからです。
しかし、実際には原材料情報をその場で説明することが難しい場合もあると思います。可能であれば、テイクアウト弁当にも食品表示ラベルを付けてほしいですね。
ご参考までに消費者庁の食品表示基準Q&Aの内容を抜粋します。
食品表示基準Q&A(弁当-16)
客の注文に応じて弁当、惣菜をその場で容器に詰めて販売する行為は、食品表示基準における容器包装に入れられた加工食品の販売に該当せず、食品表示基準第40条に定める生食用牛肉の注意喚起表示を除き、食品表示基準に定められた表示は必要ありません。
食品表示基準Q&A(弁当-17)
繁忙時に備えてあらかじめその日の販売見込み量を容器に入れておくことは、客の注文に応じて容器に入れる行為と同様と考えられるので、食品表示基準第40条に定める生食用牛肉の注意喚起表示を除き、食品表示基準に定められた表示は必要ありません。